脱毛症について
円形脱毛症と男性型・女性型脱毛症(AGA・FAGA)が知られていますが、他にも休止期脱毛症、抜毛症、圧迫性脱毛症、薬剤性脱毛症、先天性脱毛症、瘢痕性脱毛症などがあり、それぞれ治療法が異なります。内分泌や栄養障害などが関与している場合もあり、的確な診断が必要です。
円形脱毛症
円形脱毛症の原因
成長期の毛包がリンパ球に攻撃されることで発症する自己免疫疾患と考えられています。丸く脱毛するというイメージが強いと思いますが、多発することもあります。世界的に人口の1~2%にみられると推測されており、遺伝の関与も指摘されています。毛包を保護するバリアが壊され、CD8陽性NKG2D陽性の細胞傷害性Tリンパ球が活性化し自己免疫反応によって毛包を攻撃して破壊し、脱毛を生じると考えられています。
円形脱毛症の治療
対症療法が中心になります。小さい病変であれば自然に治ることも多いため、経過観察することもあります。治療を行う場合は、ステロイド外用薬・ステロイド局所注射・液体窒素治療、SADBE療法、経口JAK阻害薬などから条件や適応を考慮し最適なものを選択します。
男性(女性)型脱毛症
男性型脱毛症とは
男性ホルモンの作用によって生じ、思春期以降に発症します。前頭部や頭頂部の毛髪が細く短くなり、徐々に薄毛が進行して範囲が広がります。病気ではなく、血液中の男性ホルモンが毛包でDHT (ジヒドロテストステロン)に変換されることで発症することがわかっています。DHTの変換には5α還元酵素タイプ2が関与していることがわかっており、この酵素の活性を阻害する内服薬による治療が可能です。
※初回投与時には1年以内の健診などの採血結果が必要です(臓器障害がないことを確認するため)。採血結果がない場合は自費採血が必要です。内服後はPSAの値が低下するため、60歳以上はPSA測定(前立腺癌マーカー)を推奨しております。(60歳未満2500円、60歳以上3500円)。
女性型脱毛症とは
女性型脱毛症は更年期以降に発症し、生え際を残して頭頂部の薄毛が進行しますが、頭髪が完全になくなることはありません。発症のメカニズムがわかっておらず、男性型脱毛症とは発症機序が異なると考えられています。
男性型・女性型脱毛症の治療
男性型・女性型脱毛症では、早期に治療を開始することで高い効果が得られやすいとされています。当院では、問診でお悩みの内容や、生活習慣などについて伺います。その後、検査で進行度を把握した上で診断し、可能な治療について詳しくご説明しています。効果を実感できるまでに半年程度かかりますので、その間もしっかり指示された投与を続けることが重要です。