皮膚科とは
皮膚科では、皮膚と爪と毛の疾患を診療します。ただし、皮膚症状を起こす疾患は多岐に渡り、原因も多様です。同じ症状でも原因が異なり、悪化させてしまうケースや、内科疾患の症状として皮膚症状が現れているケースもあります。また、数日で改善する場合もありますが、なかには長期間の治療と適切なスキンケアが必要になる場合もあります。
当院では皮膚症状の原因を見極めた上で、必要に応じて内科と連携をおこない適切な治療を行っています。お気軽にご相談ください。
皮膚科受診で多い症状と疾患
かゆみ
皮膚に起こる炎症などに伴って生じる症状です。原因をしっかり確かめ、適切な治療を行うことが重要です。かゆみは身体を守るための防御反応と考えられていますが、掻くことで悪化しやすいため、早めに受診することをお勧めしています。
かぶれ(接触皮膚炎)
皮膚に触れたものが原因で起こる炎症を幅広く含みます。強い刺激によって生じる刺激性接触皮膚炎と、アレルギー反応として起こるアレルギー性接触皮膚炎に大きく分けられます。どちらの場合も原因となる物質や刺激に接しないことが重要です。アレルギー性接触皮膚炎の場合には、原因物質となっているアレルゲンを確かめるためにパッチテストを行うことがあります。
湿疹
皮膚の赤みやブツブツ、小さな水疱などができている状態で、かゆみを伴うこともあります。外的要因と内的要因が複雑に関与して発症すると考えられており、原因がわからない場合もあります。外的要因には、細菌や真菌などの病原体、薬、化学物質、アレルゲン、金属、日光などがあります。内的要因では、皮膚の乾燥によるバリア機能の低下、体調、アトピー素因といった体質などがあります。
蕁麻疹
突然、かゆみの強い腫れが生じ、数分から24時間以内に跡形もなく消えていく皮膚症状です。4週間以上、こうした症状を繰り返し起こす場合は、慢性蕁麻疹とされます。原因は、飲食物、薬、細菌やウイルス感染、疲労、ストレスなど多岐に渡ります。血液検査などを行っても原因が特定できない場合もあります。症状の緩和や解消には、抗ヒスタミン剤などによる治療が有効です。また、難治性の蕁麻疹に対してはゾレア(オマリズマブ)という皮下注射の治療も可能ですので、ぜひご相談ください。
アトピー性皮膚炎
皮膚が乾燥し、慢性の湿疹を繰り返し起こす疾患です。皮膚が乾燥することでバリア機能が低下し、抗原をはじめとした刺激が皮膚内に入り込みやすくなっています。アトピー素因があると皮膚にアレルギー反応を起こしやすいとされており、悪化因子をできるだけ避けることも大切です。強いかゆみがありますが、掻くことで状態を悪化させやすいため、適切な治療で短期間にかゆみを抑制し、炎症を抑えることが重要です。また、皮膚の乾燥を防ぐ正しいスキンケアも不可欠です。皮膚の状態が改善してからも、続ける必要があるため、正しいスキンケアの指導も行っております。
ニキビ
皮脂分泌が過剰で、毛穴が詰まることでニキビを発症します。毛穴が詰まる面皰(めんぽう)になると、アクネ菌が増殖して炎症を起こし、状態を悪化させます。皮脂分泌の盛んな顔や背中にできやすく、ニキビがストレスになることもあります。思春期にできるニキビと違い、大人のニキビは治りにくいという特徴があります。
ニキビ進行度や重症度に合わせた治療が必要であり、放置しているとへこみや色素沈着などのニキビ痕が残ってしまうこともあります。治療では状態に合わせて外用薬・内服薬などを行います。早期に治療を開始することできれいに、早く治せる可能性が高くなります。お早めにご相談ください。
たこ・ウオノメ
特定の部分に繰り返し圧力がかかることで生じます。たこは、皮膚表面の角質が肥厚したもので足だけでなくペンだこなど指にできることもあります。ウオノメは、足裏の角質が肥厚して硬い芯ができ、歩くことで芯が食い込んで神経を刺激するため痛みを生じます。
なお、ウオノメによく似た足底疣贅といういぼが足裏にできることがあります。これはウイルスによってできるいぼで、間違ったケアをすると病変を広げてしまう可能性があります。適切な治療を受けるためにも、足裏に疑わしい病変がある場合には早めに受診してください。
いぼ
ヒトパピローマウイルスが原因の尋常性疣贅、伝染性軟属腫ウィルスが原因となる水イボ、加齢や紫外線の影響によって発症する脂漏性角化症などがあります。種類によっては放置すると他の場所に増えてしまうことがあり、周囲にうつしてしまうこともあります。また、気になって掻いてしまうことで感染しやすくなります。いぼができた際にはすぐに皮膚科を受診してください。
いぼの種類や数により、摘除術、液体窒素を用いた冷凍凝固法、内服薬、外用薬などを適切に組み合わせて治療しています。
水虫
白癬菌(はくせんきん)というカビ(真菌)の一種によって生じる感染症です。白癬菌は爪、足以外の皮膚にも感染することがあり、股部白癬、体部白癬、頭部白癬、手白癬、爪白癬などと呼ばれています。病態に合わせて外用薬や内服薬などによる治療を行います。
ヘルペス
単純ヘルペスウイルスが感染し、発疹や潰瘍といった病変を生じます。口唇ヘルペスや顔面ヘルペスなどの原因となる1型、性器ヘルペスや臀部ヘルペスなどの原因となる2型に分けられます。1型ヘルペスウイルスの初感染では症状が出ない場合もあります。女性は、2型ヘルペスウイルスに初感染した際には高熱や激痛などの強い症状が出ることもあります。
抗ウイルス薬の内服薬や外用薬による治療を行います。発疹が出る前の違和感など予兆に気付いた時点で治療を開始すると状態を悪化させずに早く治せる可能性が高くなります。お早めにご相談ください。
帯状疱疹
水ぼうそうを起こす水痘・帯状疱疹ウイルスによって生じる疾患です。幼少期にかかった水ぼうそうが治った後も水痘・帯状疱疹ウイルスが神経節に潜伏します。潜伏したウイルスは、加齢やストレス、疲労、睡眠不足などで免疫力が低下した際に増殖し、帯状疱疹を発症します。
帯状疱疹の主な症状は、帯状に生じる小さな水ぶくれと赤い斑点、神経の痛みです。頭部から下肢まで全身に発症する可能性があり、左右のどちらかに生じます。目の周囲に生じた場合は角膜炎や結膜炎を、耳周辺では耳鳴りやめまいを、顔に生じた場合は顔面神経麻痺などを起こすこともあります。
神経が損傷されることがあり、その場合には発疹が治った後も長い期間、強い痛みを残すことがあります。これを帯状疱疹後神経痛と呼びます。帯状疱疹後神経痛を起こさないためにも、疑わしい発疹を見つけましたら、お早めにご相談ください。
フケ症(脂漏性皮膚炎)
角質がカサカサの白い粉のような状態になって剥がれていくフケ症は、アトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎など様々な皮膚疾患で生じる症状です。このうち、脂漏性皮膚炎では、皮脂分泌が盛んな頭部や顔面、耳介などにカサカサやかゆみ、赤みを生じます。乳児に生じる乳児型の場合は生後1年頃にはほとんどが自然に治りますが、思春期以降に発症する成人型では慢性的に繰り返すことが多くなっています。皮膚の常在菌であるマラセチアというカビ(真菌)の関与が指摘されており、ステロイド外用薬、抗真菌外用薬などによる治療が有効です。また、過剰な皮脂がたまらないよう、適切なシャンプーや洗顔など、スキンケアも重要です。
乾癬
境界がはっきりして少し盛り上がりのある紅斑が生じ、その上に銀白色のフケのような鱗屑が付着する病変が現れる慢性疾患です。繰り返し刺激を受ける場所に生じやすく、大きさや形は様々ですが悪化すると全身に広がってしまうこともあります。遺伝的な素因があり、そこに物理的な刺激などが重なることで発症すると考えられています。感染症ではないため、うつることはありません。基本的にステロイド外用薬やビタミンD3外用薬による治療が行われ、紫外線療法が用いられることもあります。また、症状によってはレチノイド、シクロスポリン、PDE4阻害薬(オテズラ®️(アブレミラスト)などの内服薬の処方を検討する場合もあります。ただし、こうした内服薬には副作用の可能性があります。慎重に経過を観察する必要があります。さらに、こうした治療では十分な効果を得られない場合、生物学的製剤という治療も可能になっています。生物学的製剤を希望される場合には、連携している高度医療機関をご紹介しています。