日帰り手術による大腸ポリープ切除が可能
大腸カメラ検査中に前がん病変の大腸ポリープを発見した場合、その場で切除する日帰り手術が可能です。入院の必要がなく、患者様の心身への負担も大幅に軽減されます。大腸ポリープ切除は基本的に内視鏡の先端からスネアを出し、ポリープにかけて締め付けることで切除しています。形状などにより、高周波電流をスネアに流す手法や下に生理食塩水を注射して持ち上げた上で切除する手法などを用いることもあります。なお、ポリープのサイズ・形状、数などによっては切除に入院が必要なケースもあります。その場合には入院可能な連携の高度医療機関をご紹介しています。
大腸ポリープのがん化リスク
大腸ポリープを切除することで将来の大腸がん予防につながります。
大腸ポリープ・大腸がんができやすくなる原因
食生活
大腸がんの発症と食生活は密接に関係していると考えられています。特に高カロリー食、ハムやベーコンなどの加工肉、牛・豚・羊の肉などはリスクが高いとされています。食物繊維を多く含む野菜などをしっかりとることは、大腸がん発症リスクを下げると指摘されています。
遺伝
遺伝的に大腸ポリープや大腸がんになりやすい遺伝性大腸がんが存在します。大腸ポリープや大腸がんになったことがある血縁者がいる場合は、自覚症状がなくても早めの大腸カメラをお勧めしています。
大腸ポリープの切除方法
コールドスネアポリペクトミー
内視鏡スコープの先からワイヤー状のスネアを出してポリープを切除する手法で、３～10mmの小さいポリープ切除に用いられます。それ以下のサイズの場合には、内視鏡先端からジャンボ鉗子を出して切除することもあります。
心臓ペースメーカーを使用中の方や抗血栓薬（１剤）を内服している方もコールドポリペクトミーによる切除であれば可能です。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
10mm以上のポリープや悪性を疑う場合、平坦なポリープでスネアをかけられない場合に内視鏡的粘膜切除術を行います。内視鏡スコープの先端から注射針を出してポリープの下に生理食塩水を注入し、ポリープを持ち上げてからスネアをかけ、高周波電流を流して切除する手法です。下に生理食塩水がありますので、安全に高周波電流を流して切除が可能です。
大腸ポリープは切除しなければいけませんか?
小さな大腸ポリープのほとんどは良性腫瘍です。ただし、ポリープのうち、腺腫やSSL（Sessile serrated lesion）などは放置していると肥大化して一部ががん化し、大腸がんになる可能性があります。大腸ポリープはゆっくり成長することが多いので、定期的に大腸カメラ検査を受けて大腸ポリープを切除することで将来の大腸がんを予防できます。これまで大腸ポリープが発見されたことがある場合、ポリープができやすい体質の可能性が高く、特に定期的な大腸カメラ検査が必要になります。
検査前の注意点と大腸ポリープ切除後の制限
検査前の注意点
精度の高い検査のためには、腸管内がきれいになっていていることが絶対条件です。腸管内がきれいになっていなければ5㎜以下の小さい病変の発見は困難になります。
検査の数日前から便秘にならないよう注意し、消化しやすく腸管内に残りにくい食事を心がけましょう。また、前日に検査食を食べるようにすると腸管に残渣が残りにくくなります。
大腸ポリープ切除後の注意
合併症に関する注意
大腸ポリープ切除は手術であり、出血や腸管に孔が開く遅発性穿孔を起こす可能性があります。切除後に下血や腹痛が続く場合にはすぐに当院までご連絡ください。また診療時間外の場合には時間外診療を行っている医療機関を速やかに受診してください。
術後の制限について
数日～1週間程度の食事・運動・入浴・飲酒・長距離移動などの制限があります。期間や内容には個人差がありますので、医師の指示を守ってください。
水分・食事
下剤を服用しているため脱水になりやすい状態と言えます。十分な水分をとってください。また、切除後の食事は、白粥やゼリー、豆腐など消化しやすいものをとり、様子をみながら数日かけて普段の食事に戻すようにしてください。1週間程度は、胃腸に負担をかける油分の多い食事や刺激物を控えてください。
飲酒
切除後は、飲酒を控えてください。
入浴
切除日からシャワーが可能ですが、入浴は通常、翌日以降から可能になります。
運動
しばらくは激しい運動を控えてください。再開のタイミングは運動内容によっても変わってきます。
腹圧がかかる動作
強いいきみ、重い荷物を持つなどの腹圧がかかる動作をできるだけしないようにしてください。また、便秘しないよう、食物繊維と水分をしっかりとってください。
長距離移動
座ったまま長時間過ごす長距離移動は、出血などのリスクを上げてしまいます。また飛行機は気圧の変化によって出血リスクが上昇します。切除から1週間程度は長距離移動を避けてください。
服薬と休薬
普段、抗血栓薬・抗血小板薬など血液をサラサラにする薬を服用されている場合、ポリープ切除後は医師の指示に従って休薬・服薬してください。
