脂漏性皮膚炎とは
皮脂分泌が盛んな生え際や鼻、耳などに赤みが生じ、黄色や白のフケを伴います。乳児に発症する乳児型の場合は一過性のものがほとんどを占め、正しいスキンケアを続けることで自然に治ります。思春期以降に発症する成人型は中年男性に多く、悪化と改善を繰り返して慢性化しやすい傾向があります。
脂漏性皮膚炎の原因
過剰な皮脂分泌や皮脂貯留(洗顔、洗髪不足)、ビタミンB群の不足、乾燥などによって発症・悪化します。マラセチアという真菌(カビ)の一種が発症や悪化に関与していることも指摘されています。他にも、ストレス、紫外線や化粧品、肥満など、様々な要因が発症や悪化に影響すると考えられています。
脂漏性皮膚炎の症状
顔の脂漏性皮膚炎
皮脂分泌が盛んなおでこ、眉間、鼻の周辺、耳などに赤みやフケのようなものが生じます。
頭部の脂漏性皮膚炎
髪の生え際を中心に赤みを帯びて、頭皮にフケのようなものが生じます。
脂漏性皮膚炎の治療
薬物療法による治療に加え、生活習慣の改善も重要です。
薬物療法では、マラセチアの増殖を抑える抗真菌外用薬による治療を行い、炎症が強い場合には炎症を鎮めるステロイド外用薬が使われます。外用薬は軟膏、クリーム、ローションなどがあり、患者様の状態や年齢などに合わせた処方が可能です。なお、かゆみが強い場合には、内服薬として抗ヒスタミン薬が処方されることもあります。
生活習慣の改善は、悪化の原因を取り除くために行いますが、再発防止にも有効です。適切な洗顔、洗髪により脂漏部位の清潔を保ち、睡眠や休息をしっかりとり、食事のバランスに気をつけ規則正しい生活を心がけてください。
脂漏性皮膚炎のよくある質問
治るまでにどのくらいかかりますか?
乳児型の場合は皮脂分泌が減少しはじめる生後3か月を超えると自然に治っていきます。成人型の場合は改善と悪化を繰り返します。ただし、治療後に状態が改善してからも正しいスキンケアを続けることで良好な状態を長く保つことが可能です。
入浴や洗顔を毎日行っても大丈夫ですか?
皮脂がたまると悪化しやすいので、入浴や洗顔はできるだけ毎日行ってください。その際には強く擦らないよう注意し、よくすすいで水気を優しくタオルで吸い取り、しっかり保湿することが重要です。
シャンプーで気を付けることはありますか?
ゴシゴシ洗うのは控え、十分にすすいでください。リンスやコンディショナーなどは毛先にのみつけて、頭皮には付着しないよう注意しましょう。また、早めにしっかり乾かしてください。
ブラッシングの際の注意点はありますか?
頭皮にダメージが及ばないよう、優しくブラッシングしてください。
整髪料や帽子などは症状を悪化させますか?
ヘアワックスやムースなどは毛先にのみ少量使う程度にとどめます。ただし、使用して症状が悪化する場合は使用を控えてください。帽子やバンダナなどは通気性が悪いと悪化させやすいので注意しましょう。
パーマやカラーは可能ですか?
刺激が強いので皮膚症状がある間はできるだけ避けてください。パーマやカラー以外でも、美容院や理容院に行く場合は脂漏性皮膚炎について説明し、刺激ができるだけ少ないケアをお願いすると安心できます。
プールや温泉に入っても大丈夫ですか?
入っても問題はありませんが、塩素や汚れなどが肌に残らないよう、最後にシャワーでしっかり洗い流すようにしてください。